Little AngelPretty devil
           〜ルイヒル年の差パラレル

      “お寒いですねぇ”
 


それは穏やかに年が明け、
三が日どころか七草も過ぎての、気がつけば
はや、ハッピーマンデー・成人の日を迎えんという
一月も月半ばにまでなっており。

 と、いうことは

昨年12月の頭によく使われた言い回し、
最も寒い冬の気温、一月終盤の寒さ…とやらが、
みたいなとか、のようなではなく、
正しく 本チャンで訪れんとしてもいて。
たとえ晴れても北風が冷たい、
分厚い雲が空を覆って、蓋でもしようものならば。
東北や北陸、日本海側のみならず、
東京の平野部であれ ちらほらと白いものだって降りかねない、
そんな極寒の季節の到来で。
かつて…バブルの頃から10年ほど前までの若い女性は、
どんなに寒かろうと意地と根性で
ミニスカートを競って履いていたものだったが、
(しかも生脚とか…)
近年はレイヤーファッションなるものが流行したことも手伝って、
スパッツだのデギンスだのパギンスだの、
ミニの下へ重ねて履くもまた良しという風潮に成り代わり。
女子ばかりではなく、片やの男子も男子で、
機能性繊維の開発により、
薄手のものがしかも安価で出回り出したせいか、
寒いなら履いていいんじゃない?と
昔は“ダサイ”と鼻で笑った世代のはずが、
今や進んでズボン下を履く時代。

 “おしゃれは我慢なんて言いようこそ、
  今時はダサイのかもな。”

そう、今時はと言えば、
萌え袖とかいって、指先しか見えないような
ぶっかぶかのセーターやカーディガンを着るのがカワイイのであり。
足首にくしゃくしゃっと まといつくよなタイプの
ハーフブーツなんかがウケたりする。
男性だって、大きめのPコートの襟に頬の一角を隠されていたりすると、
いやん可愛いじゃんvvとか思えてしまうのは、
……筆者がもういい年齢だからかもしれないが。(笑)

  それはともかく。

成人の日が“1月15日”ではなく 第二月曜になったお陰様。
結構長かった正月休みが明けてのち、
学校や会社が始まっても なかなかエンジンがかかりにくい中、
最初の“連休”となってくれるのはありがたいものの、
それは同時に、ごっつい寒い最中の休みでもあって。

  何の、いくら寒くたって じっとしてなんかいられない、と

着膨れたっても構うものか、
私には ひーとてっくや フリースパンツ、
アルミ内包らいとだうんという味方がいるもの、
だから出掛けるんだという、十代の皆様が。
さすがにイルミネーションもそろそろ片付け始めている
冬枯れして すっかりと葉の落ちた街路樹の下、
繁華街の入口、駅前なんぞで待ち合わせにと立っている姿も見受けられ。

 そんな中にあって、
 妙に皆様の視線を集めている存在がいる。

ちょっと大きめ、袖から手が指先しか見えてないダッフルコートに、
毛足の長いファーを張ったイヤーマフを装備しているが、
お顔がずんと小作りなので、
すべらかな頬にまでその端がかかっていて いかにも可憐。
ひゅうぅんと吹き付けた少し強い風に、
うぁあ〜と竦められた首は、だがだが、
それは薄い肩口にぐるぐる巻きにされている、
柔らかそうなマフラーにすっかり埋もれており。
そちらも小さな顎先が、
寒い寒いと縮こまってしまった拍子に思い切り引かれたものだから。
マフラーの端へ か弱く引っ掛かっているのがまた、
思わずのことだろう、
ぎゅうと眸を瞑ったか弱い表情と相俟って、
何とも可愛らしく映ってしょうがなく。

 「なになに あの子。」
 「モデルかなぁ。」
 「髪なんか ふわっふわじゃん。」
 「うん。風に舞い上がって気の毒だけど…。」

それがまた可憐なものだから、
滑稽だなぁと笑いを誘うどころか、
ますますと愛らしい印象を深めており。
口許へと持ち上げた右手には、指先だけ出した格好の手套をしていて、
外に出ている小さな指先が何とも儚げで痛々しいほど。
だがだが、もう片やの手でポケットから取り出したのが、
薄べったいスマホと来ては、それも仕方がないようで。
メールでも確認しているものか、
液晶画面をじっと眺めていたものの。
赤くなった小鼻ですんと小さく息をつくと、
白い息を口許から指先へと吹きかけつつ、
やれやれという雰囲気のまま、モバイルをポッケへ戻してしまい。

 ああ、まだ待ち人が来ないんだなぁ。

ちょっぴりヒールのあるブーツに、
内綿入りか、スカジャンみたいな空気含み感のあるパンツという、
寒さに特化させたカッコであり。
そんないで立ちなのに、
もこもこしてはいても何とも愛らしいばかりの立ちん坊の君は、
妙に周囲からの人目を集めていて、
自分の待ち合わせの相手が来たのへ、
ちぇっと残念そうな顔をしてしまう男子まで出るほどだったから

 「…っ、何よ何よ。ほんの30分遅れただけじゃない。
 「あ、いやいや違くて。」

記録もので早く来たのに、何? 今の舌打ち、
私 帰る…っなんてなやり取りが あちこちで始まっていたほどに、
微妙に恐ろしい状況でもあったのだが。(笑)

 「……あ。」

やっとその小さき人へも待ち人が来たらしく、
軽やかな髪の載った頭を振り上げると、小さな腕をぶんぶんと振って、

 「遅っせぇぞ、このやろーっ

おお、おお、何てまあ過激な、
しかもドスの利いた声を上げる可憐な君だろか。(大笑)
色白なお顔はお人形さんのように端正だというに、
野ばらの蕾のようなお口へ小さな手を添えて、
まだ距離があった相手さんへと声を張ったら、
迫力満点のそんな罵声だったもんだから、

  えええええ〜〜〜〜〜〜???

周囲の皆様のコケっぷりもなかなかお見事。

 「信じらんねぇ。何でこんな時期に車検なのかな。」
 「知らねぇよ。」

暮れまで試合あったし、
年明けも初詣でとかライスボウル観戦とか何とか
色々出掛ける用事が多かったしで、
期日迫ってたのを うっかり忘れてたんだよ、と。
すぐ傍らのJRの駅の方からだろか、
余裕のストライドで長い御々脚を繰り出してやって来たのがまた、
漆黒の髪をきれいに撫でつけ、
鋭角的なご面相に尚の迫力を加味した感のある、
上背もあって屈強な、なかなか恐持てなお兄さんだったりし。

 「代車もなしか?」
 「いや、駅向こうに停めてある。」

小回り利かねぇBMWとかじゃなかろうな、
安心しろクーパーのミニだ、とかどうとか。
同い年同士のお友達感覚、
しっかりタメ口で会話を繰り広げていたこちらは、
どうやら小柄な男の子であったようで。
堂にいった態度だったことや、
きっちり整った面立ちだったのと、髪が淡い金髪だったことから、
小柄な女子高生かななんて勝手に思ってた周囲の皆様。
今度は妙にがっくりと消耗しもし、

 「? どしたの?」

この段階でやって来たGFから、
妙に脱力しているのを気遣われていたりしたようで。(笑)


 相も変わらず、お騒がせな存在の
 子悪魔坊やとそのガーディアン様。
 今年もやっぱり、賑やかに、そしてお元気に、
 溌剌とお過ごしくださいますようにvv





   〜Fine〜  14.01.12.


  *いやもう さすがの一月半ばで、ただただ寒いですよね。
   特にウチは隙間だらけなので、
   窓辺に置いた机の前にいるのが何とも大変です。


ご感想はこちらvv めーるふぉーむvv

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